内部管理責任者資格試験【わかりやすい】元銀行員が解説

勉強時間目安

勉強時間

内部管理責任者資格試験に合格するためには、適切な学習時間の確保が重要。そして、問題集の内容を確認したうえで、「自分の知識の有無」を確認しましょう。次に、自分のライフスタイルや学習スタイルに合わせた勉強時間を見積もりましょう。

勉強時間の目安としては10〜20時間の勉強時間を確保できれば、内部管理責任者資格試験に合格できる可能性が高まります。あくまでも勉強時間は個人差がありますので目安として考えてください。

 

Bank office scene (1)
記事の執筆者
10年以上の銀行員経験を持ち、メガバンクで資産運用から金融商品の提案・販売まで多岐にわたる業務を経験。証券外務員一種二種に合格し、ファイナンシャルプランナーとして1000件以上の相談に対応。内部管理責任者試験にはほぼ資格対策をせずに受験し、結果合格。その専門性と信頼性で読者に役立つ情報を提供します。

 

内部管理責任者とは?

内部管理責任者とは

営業をしない人がする仕事

他の銀行員が無茶な営業をしないように監視する立場の人。守りの役目であり、「守りの要(かなめ)」です。

内部管理責任者の意味 [自主規制用語]

内部管理責任者とは、支店や部署の営業活動等が適正に遂行されているかについて管理を行う非営業職の者です。日本証券業協会が実施する資格試験に合格した内部管理業務の管理職がその任にあたっており、顧客保護や法令の順守をおこなうことで、正しい営業をすることが求められます。

引用:日本証券業協会

顧客保護や法令の順守をおこなうことによって、違法性のない、正しい営業をしますということです。

かなり内容をかみ砕いて、自分の言葉と感覚で説明してみました。皆さまは引用した「日本証券業協会の引用文」を読み、各自で意味を理解してください。

協会員の内部管理責任者等に関する規則 [自主規制用語]

内部管理責任者

日本証券業協会の自主規制規則。法令諸規則等の遵守の状況を管理する業務に従事する役員及び従業員の配置、その資格要件、責務等を定めることにより、協会員の内部管理態勢を強化し、適正な営業活動の遂行に資することを目的としています。
引用:日本証券業協会

出世のためには内部管理責任者の資格が必要

出世

協会員の内部管理態勢を盤石にし、適正な営業活動の遂行に資するため、自主規制規則において営業責任者及び内部管理責任者制度を設けており、その資質の適格性を確保する観点から、営業責任者及び内部管理責任者の資格要件として内部管理責任者資格試験に合格すること等を求めています。
引用:日本証券業協会

日本証券業協会からも、部店のトップになるためや内部管理の責任者になるために内部管理責任者資格が必要です。銀行内部の決まりではなく、日本証券業協会からもこのような決まりを言われているところが興味深いですね。

 

【大学生が取るべき】銀行員の資格 元銀行員解説

内部管理責任者資格試験の難易度

難易度

内部管理責任者資格試験は、「銀行員としてのモラル」や「お客さんを守るためにはどうしたらいいか」という内容が基本。そのため、銀行員としての経歴が浅い方には難易度が高いと言えます。しかし、銀行員として何年も従事している方にはあまり難しくない試験と言えます。また、入行から間もない銀行員の方にとっては、「内部管理システム」や「規則」などに関する知識も必要ですので、より内容が複雑に感じられます。

試験のタイミング

一部では、「内部管理責任者資格を証券外務員一種を取得した後に、すぐ内部管理責任者資格を取得したほうがいい」という意見もありますが、私の意見は違います。私の場合は、入行後数か月で証券外務員一種を取得しましたが、内部管理責任者資格試験をすぐに受けませんでした。内部管理責任者資格のことを知ってはいましたが、名前を知っているだけで、上司からも内部管理責任者資格試験を受けろと言われていませんでした。

もしかしたら、上司から言われたことがあるかもしれませんが、あまり記憶にありません。試験準備をしなかったので、内部管理責任者資格を受けろと言われなかったのだと思います。

試験受験の決意

内部管理責任者

入行してから数年後に、上司から「内部管理責任者資格を持っていないの?資格を持ってないんだったら、内部管理責任者の資格を取ったほうがいいよ」と言われました。その日のうちに試験に関する通達を調べ、銀行内部で資格試験を受講する手続きをすぐに済ませ、内部管理責任者資格試験の動画を見ました。特別な勉強はほぼなし。銀行に入って数年間、仕事をすると、内部管理責任者資格試験の内容は、通常の業務で行っているものなので、勉強は一通り内容に目を通しただけでした。

日々の通達やコンプライアンスに関わる勉強会に参加していれば、内部管理責任者資格試験に合格できるだけの知識は身に付きます。入行後、証券外務員一種に合格した後に、すぐに内部管理責任者資格試験を頑張って勉強するより、数年後にほぼ勉強せずに「内部管理責任者資格試験」に合格したほうが楽だと思います。

試験の勉強法

内部管理責任者

しかし、以下のような方にこの方法は不向きかもしれません。

上司から内部管理責任者資格試験を受けろと言われた方
取れる資格はすぐに取りたいという方
すぐに出世したい方

「上司から試験を内部管理責任者資格試験を受けろと言われた」「早く出世したい」という方は、証券外務員一種に合格した『すぐ後』に、内部管理責任者資格試験を受けたほうがいいです。銀行員歴がまだ浅い新入行員の方は、証券外務員一種に受かる前よりも、証券外務員一種に受かった後のほうが、内部管理責任者の合格率が上がります。なぜなら、証券外務員一種と内部管理責任者資格の勉強範囲が被るところがあるからです。

試験対策

内部管理責任者

日本証券業協会が発表している合格率は高く見えますが、適当に勉強して受かるような試験ではありません。入行したてで内部管理責任者資格試験を受ける場合にしっかり勉強してから、試験を受けましょう。上司に内部管理者責任者試験を受けろと言われて、その指示を「無視」したら、後でどうなるかわかりませんね。やめましょう。

日本証券業協会発表の合格率

内部管理責任者

合格率は8割以上のため、合格しやすい資格と言えます。

会員内部管理責任者資格試験の受験資格を、本協会が認める金融商品取引業に関わる組織・団体の役職員に対し一部拡大しています。本年度における協会員等の役職員を対象とする内部管理責任者資格試験(会員内部管理責任者資格試験及び特別会員内部管理責任者資格試験)の受験者数は計18,754名、合格者数は計15,565名であった。また、他の金融商品取引業に関わる組織・団体における会員内部管理責任者資格試験の受験者数は計18名、合格者数は計17名であった。
引用:日本証券業協会

 

「合格率は8割以上と高いですが、これは受験者の多くが既に業務経験を持ち、日々の業務で試験範囲に関わる知識を得ているためです。経験の浅い方や初めて受験する方は、十分な学習時間を確保し、しっかりと試験対策をしていきましょう。

 

内部管理責任者資格試験 過去問

過去問

内部管理責任者資格試験の過去問は公表されていません。そのため過去問を用いた予想問題や模擬試験などを会社で配布されたテキストや動画、市販されている参考書や問題集をもとに勉強することになります。

過去問の内容としては、

「営業責任者は金融商品取引法やコンプライアンスを順守し、営業単位に所属する~」
「債券の利回りを計算させる問題」

等の内容が出ています。

回答は選択式。試験で出題される問題内容は、国内外の法令・規則、倫理的・道徳的な問題、内部管理システムや規程、リスクマネジメントなどに関する知識やスキルです。入行したてだと、聞きなれない用語ばかりなので、とっつきにくい問題文が出題されています。

「会員」「特別会員」とは?

内部管理責任者

銀行員でも「会員」の内部管理責任者資格試験に申し込み可能。*個人で申し込みはできません。会社経由で申し込みをする必要があります。

特別会員と正会員の違い
定義: 銀行や保険会社などの金融機関が特別会員。証券会社が正会員。
対象者: 金融機関の従業員が特別会員。証券会社の従業員が正会員。
受験資格: 金融機関の従業員のみが特別会員の資格を持ち、証券会社の従業員が正会員の資格を持つ。
業務範囲: 特別会員は限られた有価証券を取り扱う。正会員は幅広い取引業務が可能。
取扱い商品: 特別会員は国債・投資信託など。正会員は株式、信用取引、デリバティブ取引など。

特別会員と正会員の対象者は異なり、特別会員は銀行や保険会社のような金融機関の従業員が、正会員は証券会社の従業員が対象。受験資格についても違いがあり、特別会員は銀行や保険会社のような金融機関の従業員が受験できます。正会員は証券会社が受験可能です。

業務範囲では、特別会員は限られた有価証券の取引を行うことができますが、正会員は幅広い取引業務が可能。取り扱うことができる商品にも違いがあり、特別会員は国債・投資信託などが中心ですが、正会員は株式や信用取引、デリバティブ取引なども含む多岐にわたります。なお、正会員は特別会員の業務も行えるため、他の金融機関への転職でも役に立ちます。その反面、特別会員は正会員の業務ができないため証券会社への転職時には、資格を取り直す必要があります。

 

日本証券業協会の令和3年度事業報告書

試験種類 会員等 特定業務会員 特会等 合計
一種外務員資格試験 4,016 86 22,915 31,707
二種外務員資格試験 955 13 3,314 7,128
会員内部管理責任者資格試験 3,743 15 13,158 16,934
特別会員一種外務員資格試験 0 0 5,295 5,295
特別会員二種外務員資格試験 0 0 9,566 9,566
特別会員内部管理責任者資格試験 0 0 1,838 1,838
合計 8,714 114 56,086 72,468

*「一般の受験者の人数」は削除しているため、合計の数字に誤差があります。

「会員」内部管理責任者資格試験の受験者が圧倒的に多いですね。

銀行員だからといって、簡単な「特別会員」内部管理責任者資格試験ではなく、「会員」内部管理責任者資格試験を受験させている銀行が多い。「会員」内部管理責任者資格のほうが「高度な知識が必要とされる」から、銀行にとっては「会員」内部管理責任者の資格をとってもらいたいのですね。どちらの資格が必要かを通達や人事部に確認しましょう。

おすすめテキスト

内部管理責任者試験 おすすめ

テキストや問題集は会社から支給されるのであれば、それを使ってください。その場合は、おそらく無料でテキストと問題集が手に入ります。そのため、これから紹介するテキストや問題集を買う必要はありません。

もし「勤務先から参考書や問題集が手に入らない」「すぐにでも試験勉強をしたい」という場合には、これから紹介する書籍をご購入ください。

内部管理責任者資格試験のためのおすすめのテキストをご紹介します。

教材

内部管理責任者資格試験に必要な知識やスキルを学習するための教材があります。この教材は、「内部管理システムや規程」、「倫理的・道徳的な問題」、「リスクマネジメント」などに関する内容がすべてカバーされています。

問題集

内部管理責任者資格試験の準備に役立つ問題集があります。この問題集は、過去の試験問題をまとめたもので、合格するために必要な知識やスキルを確認することができます。

 

 

特別会員の方の問題集はコチラ

(テキストは「会員用」のテキストをつかってください)

 

試験形式や問題集が似た模擬試験もあります。模擬試験を通じて、本番試験で遭遇する可能性のある問題に対する対応力を確認可能です。

これらのテキストは、書店やオンラインストアなどで入手することができます。内部管理責任者資格試験に合格するためには、これらのテキストを適切に利用して学習することが大切です。

内部管理者責任試験は「ファイナンシャルプランナー3級のように、一般の人も受けるメジャーな資格ではない」ため、もともと出版されている種類が少ないです。そのため、書店に行っても吟味するだけの種類がありません。オンライン購入が確実で早いです。

 

効果的な勉強計画の立て方

内部管理責任者

効果的な勉強計画を立てるためには、まず試験範囲を把握し、自分の強みと弱みを見極めることが重要です。例えば、法令やコンプライアンスに関する知識が不足している場合は、重点的に勉強時間を割り当てる必要があります。また、日常業務とのバランスを考慮し、無理のないスケジュールを組むことも大切です。例えば、毎日1時間ずつ勉強時間を確保するなど、継続的な学習を心がけましょう。

効率的な時間管理術

仕事と勉強を両立させるためには、効率的な時間管理が不可欠です。以下の方法を参考にしてみてください。

スケジュールの見直し: 自分の1日のスケジュールを見直し、無駄な時間を省いて勉強時間を確保しましょう。
短時間で集中: 1回の勉強時間を短く区切り、その間は集中して取り組むことが効果的です。例えば、25分勉強して5分休憩する「ポモドーロ・テクニック」を活用するのも良いでしょう。
目標設定: 具体的な目標を設定することで、モチベーションを維持しやすくなります。例えば、「1週間で特定の章を終える」など、短期的な目標を設定しましょう。

試験直前の追い込み方

内部管理責任者

試験直前期には、以下のポイントに重点を置いて勉強を進めましょう。

重要ポイントの復習: 教材やノートにまとめた重要ポイントを繰り返し復習しましょう。
模擬試験の活用: 模擬試験を解くことで、試験本番に向けた準備を万全にしましょう。特に、時間配分の確認が重要です。
試験当日の準備と心構え: 試験当日はリラックスして臨むことが大切です。前日はしっかりと睡眠を取り、試験当日は早めに会場に到着するようにしましょう。

合格者の体験談と成功事例

内部管理責任者

合格者の体験談や成功事例は、非常に参考になります。

「私は内部管理責任者資格試験にほぼ対策をせずに受験しましたが、合格することができました。日々の業務で得た知識が試験内容と重なる部分が多かったためです。ただし、初めて受験する方には、テキストを確認のうえ、勉強計画を立てることをおすすめします。」

また、別の合格者は次のように述べています。

「試験準備として、過去問を何度も解きました。これにより、出題傾向を把握し、自分の弱点を補強することができました。」

 

成功事例

合格者Aさん
銀行業務での経験を活かし、試験に臨む
日々の業務で得た知識が試験内容と重なるため、対策なしで合格

合格者Bさん
過去問を繰り返し解くことで、出題傾向を把握
自分の弱点を補強し、試験に臨む

よくある質問とその回答

内部管理責任者

試験勉強中に抱く疑問点に対する回答を以下にまとめました。

Q: 勉強時間はどのくらい必要ですか?
A: 一般的には10〜20時間が目安ですが、個人の経験や知識に勉強時間は異なります。仮に入行当初、受験しようとすると10~20時間では足らないでしょう。

Q: 勉強に必要な教材はどこで手に入りますか?
A: 勤務先から提供される教材や市販の参考書を利用しましょう。オンラインストアで購入することも可能です。

Q: 試験はどのような形式ですか?
A: 試験は選択式で、国内の法令・規則、倫理的・道徳的な問題などが出題されます。

試験後のキャリア展望

内部管理責任者資格を取得した後のキャリア展望について考えてみましょう。資格を取得することで、以下のようなキャリアパスが開けます。

昇進の機会: 資格を持つことで、管理職やマネージャーとして昇進する機会が増えます。
専門知識の活用: 法令順守やコンプライアンスの知識を活かし、企業の信頼性向上に寄与できます。
異動のチャンス: 他の部門や関連企業への異動のチャンスが広がります。特に、法務部門やリスク管理部門などでの活躍が期待されます。
内部管理責任者資格を取得することで、管理職への昇進やリスク管理、コンプライアンス部門でのキャリア展開が期待できます。特に、法令順守の重要性が増している現代の金融業界では、内部管理責任者としての知識と経験は出世に必須です。

キャリア展望の具体例

昇進の機会
管理職やマネージャーへの昇進

専門知識の活用
法令順守やコンプライアンスの知識を活かす

異動のチャンス
他の部門や関連企業への異動のチャンス

まとめ

まとめ 

内部管理責任者資格は、証券外務員一種の取得後に受験することが基本。もしくはすぐに受けずに、数年後に受験することも可能です。勉強時間は10〜20時間を目安に確保し、テキストは基本的に会社からもらったテキスト・問題集を利用しましょう。試験は難しくないため、緊張せずに試験を受けましょう。

試験のポイントまとめ

計画的な勉強が重要
効果的な時間管理が鍵
勉強時間の目安は10〜20時間
試験後のキャリア展望も明るい

試験に臨む皆さんが、十分な準備をして合格を目指せるよう、心から応援しています。

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